ロサンゼルス出身のPHANTOM PLANET(ファントム・プラネット)は、2ndアルバム『Guest』収録の「California」が米TVドラマに使用されたことでブレイクしたバンドです。
女子ウケしそうな甘酸っぱいメロディと聴きやすいギターサウンドが特徴的で、ロックよりもポップな要素が強いバンドでしたが、2004年に発表された3rdアルバム『Phantom Planet』でそのイメージをガラリと変えます。
元々このアルバムで彼らを知ったので、前作とのイメージの違いに惑わされることはありませんでした。そもそも前作を知っていたら、このアルバムを聴こうと思っていなかったかもしれません。
ガレージバンド風のサウンドに、アレックス・グリーンワルド(Vo&Gt)のキャッチーながらも、どことなく自堕落なヴォーカル。ポスト・グランジを思わせる音楽性は僕の中でかなりのヒット作でした。
プロデューサーのデイブ・フリッドマンは、日本のロックバンド、ナンバーガールのアルバムを手掛けた人物です。ギラギラと尖ったようなギターと、立体的&空間的なドラムサウンドは共通するカッコ良さだと思います。
ただのガレージ風ではない、センスが光る一枚。
アルバム1曲目の「The Happy Ending」はまさにこのアルバムを象徴する1曲です。
イントロからダイナミックに炸裂するドラムとブリブリに歪ませたベース。そこに乗っかるザラザラしたギターサウンドと退廃的なヴォーカル。後半のノイズ混じりのジャムっぽい部分から盛り上がっていく展開もなかなか素敵ですよ。
続く「Badd Business」と「Big Brat」もそうですが、とにかくドラムとベースの存在感が強調されたアルバムです。これはデイブ・フリッドマンのプロデュースによるところが大きいと思います。
曲によってはシューゲイザーに通じるようなギターもあり、ただパンキッシュなアルバムではなく、実験的なアプローチも所々に垣間見ることができます。「Jabberjaw」の左右のギターの絡みと自由にうねるベースラインのセンスには脱帽です。
「The Meantime」は硬質なギターリフと、スペーシーなシューゲイザー風のギターが見事にマッチした傑作です。この曲のベースがとにかくメロディアスでグルーヴ感にあふれています。一聴の価値ありです。
今作の後に発売された4枚目のアルバム『Raise The Dead』ではかなりポップ寄りの曲調となり、エッジの利いたギラギラした感じがかなり薄れてしまったのは残念です。やはり今作での極端な音楽的シフトが受け入れられなかったんでしょうかね。
今月には、なんと12年ぶりとなる5枚目のアルバム『Devastator』を発売することが決まっています。収録曲の一部を聴きましたが、これも僕の理想とする彼らの音楽ではないんですよね~。
僕的には、2000年代前半の作品の中でTOP10に入るほどの名アルバムなんですけど、この路線が継続されなかったのは本当に残念でなりません。もっと評価されていいアルバムだと思うんですけどね。