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音楽紹介

このキャッチーさには男子もやられる。『A Boy Named Goo』GOO GOO DOLLS

90年代中盤といえば、商業メタルを駆逐したグランジ/オルタナ・ムーブメントが、カート・コバーンの自殺により終息しつつある時期でした。それまでオルタナティブ(代わりの)ロックと呼ばれていた音楽ジャンルが主流となり始めて、様々な形態の音楽がヒットチャートに現れるようになりました。

グランジ終焉の後には、メロコアやポップ・パンクの人気が上がり、ラップ・メタルとも呼ばれたニュー・メタル勢も市民権を得ます。グランジと同時期に発展しながら、その陰に隠れがちだったミクスチャー系も色々と新しいバンドが現れました。グランジ/オルタナの流れから生まれたエモなんかも、この頃から世界的に流行り出しましたね。

音楽ジャンルもはっきりと区別することが困難になり、ひとつのバンドをひとつの言葉で表現しにくい時代となりました。インタビューを読んでいても、この頃のバンドは、自分たちの音楽をそういったジャンルで括るのを嫌がる傾向にあったと思います。

聴く側としても今まではハードロック、メタル、パンク、あとはグランジ/オルタナetc…といった感じで大雑把にバンドを区別してましたが、もうこんなにも多種多様な音楽が生まれてくるとジャンル分けする必要がなくなりましたし、正直、面倒になりました。

反面、グランジ/オルタナ・ムーブメント以降に現れたバンドで、音楽的にグランジ/オルタナと呼びたいバンドをなんて表現したらいいか悩んだりもしました。今更グランジとも呼びづらいし、そもそもグランジ/オルタナの定義も曖昧だし。

GOO GOO DOLLS(グー・グー・ドールズ)なんかはそんなバンドの代表格じゃないですかね。

バラードだけじゃない、実はロックなバンド。

87年にアルバムデビューをしている彼らを「グランジ以降」 のバンドと呼ぶのはどうかという気もしますが、彼らが最初に大きな成功を収めたのは、95年発表の5枚目のアルバム『A Boy Named Goo』からなので、今回はそういう扱いにさせていただきます。彼らの熱狂的なファン=通称GOOVERSの皆さん、ごめんなさい(まあ、日本にはいないと思うけど)。

括りとしては、いわゆるオルタナティブ・ロックバンドとして扱われることが多い彼らですが、昔ながらのハードロックやパンクを下敷きにしたキャッチーなメロディの楽曲がウリかなと思います。

『A Boy Named Goo』の1曲目を飾る「Long Way Down」のイントロなんて、もろアメリカン・ハードロックといった感じです。軽快なリズムとエッジの利いたギターに、キャッチーなメロディを乗せたこの曲は、今となってはアメリカン・ロックの教科書的な作りじゃあないですかね。ハードロック風なんだけど、メロディを軸にした曲。いかにもヒットしそうな構図です。

このバンドには二人のリードヴォーカリストがいます。「Long Way Down」でヴォーカルをとっているのは、ジョン・レズニック(Vo&Gt)。大半の曲は彼がリードヴォーカルをとっています。低い深みのある彼の歌声は、彼らお得意のバラードにもマッチします。また、イケメンなので女子人気も高かった。

もう一人のヴォーカル、ロビー・テイキャック(Vo&Ba)は主にパンキッシュな曲を担当しています。ジョンと違いハイトーンな歌声の持ち主で、90年代というよりも80年代のロックバンドっぽい雰囲気です。

ハードロック調だったり、パンクな感じの曲も良いのですが、やはりグー・グー・ドールズのヒット作はバラード系の曲にあります。彼らが世界的にブレイクした名曲「Name」は、このアルバムを語る上で外せない1曲です。

もうイントロを聴いた段階で名曲確定ですが、スローバラードを思わせるAメロから一転して、アップテンポなサビとの対比も見事です。やはりロックバンドのバラードにはこういったロックテイストは合ってほしいですからね。

この曲は彼らにとって最初の世界的シングルヒットでもあり、当然ながら代表曲のひとつでもあります。次作の『Dizzy Up The Girls』に収録された、大ヒットソングの「Iris」もバラードだったため、どうしても彼らにはバラード・バンドといったイメージが強いと思います。

でもこのアルバムには、バラードよりもアップテンポなロックナンバーの方が多く収録されていますし、初期の頃は普通にパンクバンドなので、バラード以外にも良い曲が沢山あるんですよね。

この「Eyes Wide Open」はシングルカットもされていないし、あまり知られた曲ではないんですけど、メチャメチャカッコよくないですか?サビのキャッチーさなんかはシングル向きだと思うんですけどねえ。

最新の彼らの写真を見ると、すっかり中年オヤジといった風貌ですが、まだまだアルバムを作ったりと、活動を続けている様子ですので頑張ってほしいです。昔聴いていたバンドは、残っている人たちの方が少ないので寂しいですからね。

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