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音楽紹介

個人的にはボブよりもジェイコブの歌声の方が馴染みがある THE WALLFLOWERS『Bringing Down The Horse』

父親はボブ・ディラン。ただ僕はあまりボブ・ディランについては知らないですね。ベスト盤を1枚持っているだけです。だから彼の息子、ジェイコブ・ディラン(Vo&Gt)がフロントマンを務めるバンド、ザ・ウォールフラワーズに関しては色眼鏡で見ていないつもりです。しゃがれた声がお父さん譲りなのかなとは思いますけど。そもそもボブ・ディランの歌なんて数曲しか知らないので、この感想も的を得ているのか分かりませんね。

古き良きアメリカンロックといった感じの楽曲が並ぶ『Bringing Down The Horse』は、バンドにとって2枚目のアルバムで最大のヒット作です。何と言っても、グラミー賞を受賞(最優秀ロック・ソング、最優秀ロック・パフォーマンス<デュオ/グループ部門>)したアルバムですからね。もちろん、グラミー賞を獲得しているから良い作品と言うつもりはないのですが、それほど素晴らしいアルバムですよと言いたいだけなんです。

彼らのデビュー作『The Wallflowers』を聴いたことがないのですが、そのデビュー作はレコード会社から契約を打ち切られるほどのセールスだったそうです。それから4年後に発売されたセカンドアルバムがアメリカだけで400万枚以上売れた上に、グラミー賞まで獲ったのですから、この4年間で飛躍的な進歩をとげたのは間違いないんじゃないでしょうか。

おそらく彼らの曲の中で最も有名で、グラミー賞を獲得した、90年代ロックシーンを代表する名曲「One Headlight」が冒頭を飾ります。

決して真新しいことをしているわけでもなく、イントロからほとんど一定のリズムで淡々と進む曲ですが、聴き入ってしまいますね。ギターはサビと終盤の十数秒以外のパートでは比較的大人しめで、柔らかい感触の音のキーボードが哀愁を誘います。ベースとドラムなんて非常に単調に聴こえますが、全ては「歌」を重視した結果かなと。フォークに近いのか、それとも日本の演歌?

続く「6th Avenue Heartache」もミドルテンポで聴かせる曲です。ブルージーなスライドギターが印象的で、サビのコーラスが個人的にはツボですね。ライブ映像などを見る限り、バックコーラスはマイケル・ワード(Gt)が担当しているようですが、彼とジェイコブのコーラスワークもこのアルバムの魅力です。「One Headlight」と同じく歌詞の内容はあまりポジティブなものではなさそうなのですが、曲の雰囲気自体はのどかな感じです。

個人的にはこのアルバムで一番好きな曲が「Bleeders」です。前の2曲に比べるとサビのロック色が強く、アグレッシブなドラミングが聴いていて心地良いです。サビのジェイコブの低音のシャウトに痺れますし、中盤のキーボードの間奏も物寂し気なメロディーでなんか感傷的な気分になります。ちなみにキーボード担当のラミ・ジャフィーは、今ではフー・ファイターズに参加しているんですね。最初に見たときは気づきませんでした。このアルバムの時期の彼はサングラスをかけてハットをかぶったりと、気障な見た目をしていましたが、今は髪も髭も伸ばし放題で、やさぐれ感ハンパないです。今の方がビジュアル的に格好いいと思います。

「The Difference」、「Laughing Out Loud」、「God Don’t Make Lonely Girls」はアップテンポで、どちらかと言えば暗い感じの曲が多い彼らのレパートリーの中では、非常に明るい曲調です。カントリーやフォーク調のロックで、いかにもアメリカ人が好きそうなノリの良さがあります。

「Three Marlenas」もやはりジェイコブの歌声に惹かれる、スローバラードです。フォークソングのようにギターはほぼ全編コード弾きが主体で、その分ベースの音が良く聴こえます。派手さはないのですが、グレッグ・リッチリングのセンスあるベースラインが渋い。

終盤の佳曲「Angel On My Bike」はジェイコブの低い渋めの歌声が格好いいのはもちろんなのですが、ギター、ベース、ドラム、キーボード全てのパートに見せ場があり、ライブでも終盤に演奏されたらきっと盛り上がりそうです。「One Headlight」だけを聴くと、ジェイコブのソロ作品かというほど彼のヴォーカルに重きが置かれていますが、こういったバンド全体のグルーヴが感じられる曲はやはりいいですね~。

『Bringing Down The Horse』以降に発売されたアルバムも何枚か持っていますけれど、アルバムとしてはやはり今作が最強の一枚かもしれませんね。ほぼ捨て曲がない完成度の高さとシンプルな音作りが僕の好みには合っています。

歪んだギターとシャウトが醍醐味のグランジや、疾走感のあるメロコア、ヘビーな演奏にラップ調のヴォーカルを乗せたニューメタルなど、攻撃的な音楽ジャンルが生まれた90年代ですが、こういうルーツミュージック寄りのロックバンドにも良いバンドがいたんですよね。

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