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音楽紹介

長く聴けるロック COLLECTIVE SOUL『Collective Soul』

1994年にデビューしたコレクティブ・ソウルは「Shine」という曲が全米で大ヒットしました。正直、バンドとしてはあまり日本での知名度はないかもしれませんが、この曲は知っているという方は多いんじゃないですかね。

翌95年には早くも2ndアルバム『Collective Soul』を発表しました。僕は結構このアルバムが好きで、所有する90年代発表のアルバムの中でも結構聴く機会が多いです。1曲目から流していると、いつの間にかアルバムが1周している時もありますね。因みにウィキペディアを見てみると、キャリアの中で最も売れたアルバムのようです。トリプル・プラチナムに輝いているので、300万枚売れてるってことかな。

グランジ/オルタナバンドの中では後発組ですが、アメリカでは長く活動を続けているようです。昨年にはニューアルバムも出しているようです。多くのバンドがグランジブームの後に解散や活動休止となりましたが、根強い人気があるんでしょう。

グランジ/オルタナバンドと表現しましたが、ギターが激しくノイジーというわけでもないですし、ヴォーカルも強烈なシャウトで押すのでなく、キャッチーな歌メロが武器といった感じです。ギターリフもカチッとまとまった感じで、アメリカン・ハードロックを下敷きにしたオルタナバンドといった風。「Simple」、「Untitled」、「Smashing Young Man」辺りはアルバムの中ではハードロック色が強いナンバーです。

ただしメインソングライターのエド・ローランド(Vo)は非常に優れたメロディメイカーで、激しいギターが印象的なハードロッキンな曲でも、サビに入るとそのヴォーカルメロディの美しさに引き込まれます。メロディも覚えやすく、スッと頭に入ってくる感覚です。

万人が聴きやすいロック

アップテンポでノリの良い曲もいいんですが、やはりエドのヴォーカルが活きる曲はハードさを売りにしたものよりも、美しいメロディやコーラスを聴かせるミドルテンポの落ち着いた楽曲かなと思います。ストリングスを取り入れた楽曲も多く、「The World I Know」、「December」なんかはキャッチーで聴きやすい曲です。あまりうるさいロックは苦手な人にもオススメですね。

エドは名門バークリー音楽院に在籍した経験を持ち、レコーディングスタジオで何年もアルバイトをしていたそうですから、ただ楽器を演奏する以外の知識と技術も持っているようです(実際、デビューアルバムの時点でプロデューサーとしてクレジットされています)。作曲面でも引き出しが多いから、いろいろなカラーの曲を作れるんでしょう。

ともすれば「優等生」、「真面目」といった印象を持たれがちなバンドではありますし、サウンド面もオーソドックスな昔ながらのロックといった感じで、冒険的、実験的という感想は生まれません。

その反面、汚い言葉を使うわけでもなく、典型的なロックサウンドは多くのリスナーにとって聴き馴染みのあるものです。そして何より楽曲のクオリティの高さは秀逸です。これらの要素があってこそ、長期間に渡って音楽活動を続けていけるんでしょう。僕が長年聴き続けているのも、幅広い層に受ける音楽性によるものだと思います。10代の頃は当たり前のように聴き込んでいたハードでノイジーな曲も、いま聴くとちょっと体力を使ってしまいそうなときがありますから。

その点、コレクティブ・ソウルの楽曲はちょっとロックを聴く人ならすんなりと受け入れられる耳触りの良さがあります。エドと弟のディーン(Ba)はかなり厳格な家庭で育ったらしいので、元々そんなに退廃的な人生を送ってないのかもしれません。それが彼らの音楽にも表れているのかも?

それでもやはり彼らがロックバンドであることを認識させるのは、リードギターのロス・チルドレスが魅せるギターソロにあります。わざわざアルバムのクレジットに”lead guitar”と表記するくらいですから、ソロは彼が弾いているに違いありません。すべての曲がそうというわけではないんですが、かなりハードロック寄りのギターソロですね。「Gel」や「She Gathers Rain」のソロなんかは、そこだけ聴いたら普通に80年代ハードロックバンドの曲みたいです。

でも結局のところ、このバンドの一番の魅力ってやはり圧倒的に美しいメロディセンスにあるんじゃないですかね。たしかに真新しいことはしていないんですけど、逆に言うと、流行り廃りとは無縁の音楽を作っているのではないかと。

アルバム最後の「Reunion」が好きになれるかどうかが、このバンドにハマれるかどうかなんだと思います。2分半程度のゆったりとした曲なんですけど、全く派手でもないし、ヴォーカルも淡々としたものです。でもゴスペル風の女性コーラスだとか、ブルージーなギターソロが入ったりして、アメリカのロックを凝縮したといった印象の曲です。

歴史に残る名盤だとか、誰かの人生を変えるほどのインパクトを残すようなアルバムではないかもしれません。それでもこういった地味だけど、心に残る曲を大事にするのも音楽好きの特権かなと思います。若い時から、それなりに音楽を聴いている方だとは思いますけど、だからこそこういった見落としがちなバンドを知ることができたので。

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