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音楽紹介

グルーヴ半端ない!UKロックの隠れた名作 REEF『Getaway』

90年代のブリットポップ・ムーブメントの流れを全くと言っていいほど無視。我が道を行くスタイルで骨太ロックを展開していたバンド、REEF(リーフ)。デビュー当時からブルージーでソウルフルなその音楽性は、当時のUKロックシーンでは異端と呼べるほど “浮いて”いました。

ギャリー・ストリンガー(Vo)のクセはあるものの力強い歌唱力。余計なエフェクトに頼らない、ケンウィン・ハウス(Gt)のジューシーで切れのあるギターサウンド。ジャック・ベサント(Ba)のブリブリと鳴るベース。ドミニク・グリーンスミスの堅実ながらしっかりとしたグルーヴを生み出すドラミング。たしかに彼ら4人から発せられる音を “ポップ” と呼ぶのはいささか抵抗があります。

ただそのロック色が強い音楽は、ややとっつきにくいというか、万人受けするものではなかったかもしれません。ローリングストーンズのマイナーな曲みたいな、もう自分たちが演りたいように演っているんだという雰囲気に近い気がします。

キャッチーなグルーヴ感満載

そんな彼らのキャリアの中でもっともキャッチーなアルバムが、4作目の『Getaway』です。

このアルバムのなにがいいか…。何といってもジャケットが格好いい!ベースのジャックが床に座り込んでベースを弾く姿が、まさにロックンロールといったビジュアルです。

もちろん曲も格好いいですよ。従来の彼らの楽曲よりも軽快なナンバーが目立ちます。

アルバム1曲目の「Set The Record Straight」は自然と体が動き出すようなアップテンポなナンバーです。PVを観てもらってもわかるように、メンバー自身がノリノリで演奏している姿がこの曲のイメージそのものです。イントロからのケンウィンのギターも格好いいんですけれど、ジャックとドミニクが生み出すグルーヴも特筆です。ある意味、彼らなりのダンスナンバーとも言えます。

続く「Superhero」と「Getaway」も心踊るタテノリナンバーです。何よりも今までの彼らのアルバムに収められていた曲には少なかった、明るい曲調のナンバーです。REEFのとっつきにくさは、曲調も関係していたと思いますね。どちらかと言えば、ミドルテンポで重厚な曲がメインでしたが、本当にこのアルバムは初めて聴いてもノれる、軽快でわかりやすい曲が多いです。「Saturday」や「Pretenders」といった曲も、一聴しただけでメロディーがスッと入ってくるキャッチーさがあります。

もちろんミドルテンポの曲にも優れたものがあります。「Solid」、「All I Want」、「Hold On」はアルバム中盤に固まっているのですが、どれも「聴かせる」歌です。演奏も格好いいのですが、こういった曲はギャリーの歌が映えますね。しっとりというよりは力強い歌声で、これぞロックヴォーカリストの真骨頂ですね。唯一「All I Want」が正統派バラードといった感じの曲で、ギャリーの歌声も柔らかいものになっています。

そしてバラードといえば、このアルバムには90年代以降のUKロック屈指の名バラード「Levels」が収録されています。 この曲は完全にギャリーの歌唱力あっての名曲だとは思いますが、思わず聴き入ってしまうメロディーラインも素晴らしい。僕の中ではブリットポップの代表格オアシスの名バラード「Don’t Look Back In Anger」に匹敵する名曲です。

彼らが発表したアルバムの中で、なぜかこのアルバムだけが随分とキャッチーで明るい感じの曲が多いので、昔からのリーフファンからすると意見が分かれるかもしれません。ただ僕の中では名盤と呼んで差し支えない作品です。実際、2000年以降に発売されたUKバンドのアルバムで最も聴いたものだと思います。あまり日本ではブレイクしなかったバンドですけれど、昔彼らを通過しなかった方はぜひ聴いてみてください。

POSTED COMMENT

  1. pochi より:

    ワタシもブリット全盛の時「なんかゴリゴリのロックって苦手やわ〜」と友人に白い目で見られつつも、ライブに行きましたね〜。来る度に行ってました。 Gateway、会心の名盤だと思います。
    ワタシは「 Hold on 」が好きです。
    Where are you goin without me〜♫というフレーズが
    当時の恋愛を彷彿させてしんみりします  笑

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