おんどくライフ
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音楽紹介

UK産グランジバンド BUSH『Sixteen Stone』

イギリスのバンドでありながら、明らかなグランジサウンドを鳴らすBUSH(ブッシュ)。グランジブームが徐々に、しかし明らかに終わりを告げつつある1994年に発表された『Sixteen Stone』が彼らのデビューアルバムです。中心人物のギャビン・ロスデイル(Vo&Gt)がアメリカ滞在時に観たニルヴァーナのライブに衝撃を受けたということですが、確かに典型的なグランジバンドといった音楽性です。

だからといって、パクリだとかフォロワーと言った風に揶揄するつもりはなく(当時はそんな扱いを受けたりもしましたが)、ニルヴァーナが消滅した後にシーンをけん引してもおかしくなかった優れたバンドだと思っています。 正直、”ニルヴァーナっぽい” リフや、 “カート・コバーンのような” 歌い方がちらほら現れますが、それはそれでいいんじゃないですかね。聴く側が盛り上がればもうOK。当時のシーンのファンはもっと色々なグランジバンドを求めていましたから。

しかしギャビンの歌声に関しては、いわゆるグランジ勢のヴォーカリストとは違い、あまり男臭さを感じません。どことなくセクシーというか、艶っぽい歌声をしているんですよね。ストーン・テンプル・パイロッツのスコット・ウェイランドもそんな歌声ですけど、やはりこういったヴォーカルはグランジバンドの中では異色な気がします。

色気のある歌声。STONE TEMPLE PILOTS『Tiny Music ... Songs From The Vatican Gift Shop』ストーン・テンプル・パイロッツ(以下ストテン)は、1992年にアルベム『Core』でデビューしたサンディエゴ出身のロックバンドです。70...

新世代グランジバンドの急先鋒になりうるはずだった

ニルヴァーナやパールジャムといった「初期グランジ」バンドは、70年代のハードロックやパンクを下敷きにして独自の音楽を形成しました。彼らの後に続いたグランジ/オルタナティブバンドは、そんなグランジサウンドを基にして、さらに自分たちのオリジナリティを発展させた楽曲を産み出していきます。特に90年代後半や2000年代に現れた「ポスト・グランジ」バンドなんかにはそういった特色があると思います。

『Sixteen Stone』の発表は1994年なので、そこまで従来のグランジバンドと様変わりするほどの楽曲の違いはありませんが、今作最後のシングルだった「Machinehead」は、歴代グランジソングの中でもトップクラスの名曲だと思っています。

グランジの曲と言えば、ヘビーなリフを売りとするものが多いですが、この曲の疾走感に似たタイプの曲はあまりない気がします。ただ速い曲ならパンクやメロコアでいいのですが、グランジ特有のヘビー&ダークな面も持ちつつ、そしてキャッチー。新たなグランジサウンド誕生といった感じがしました。

でも個人的には「Little Things」のような典型的なグランジな曲も大好きですね。もう完全に「ニルヴァーナ大好き!」といったギャビンの好みがまんま出たような曲です。終盤の彼のシャウトは必聴ですよ。

「Everything Zen」も歪ませまくったギターとダークなベースラインが格好いい曲です。ドラムもダイナミックで、ライブで盛り上がること間違いなしのアツい曲です。そしてギャビンのヴォーカルが光る曲ですね。彼のかすれ気味の声はAメロの抑え気味に歌うパートでも、サビのシャウトでも映えます。

活動休止や何人かのメンバーチェンジがありながら、現在でも活動しているんですね。しかも今年はニューアルバムを出すようで、YOUTUBEで新曲の動画を観て知りました。

90年代に活躍したバンドですし、年も取ってますから、当時のようなインパクトを受ける可能性は少ないかもしれません。でもPVを観る限り、ギャビンの外見や声は若いころと比べてもあまり老けた印象は感じません。意外とハードロックやヘビメタバンドは長く活動を続けたり、再結成している人たちが多いですが、90年代オルタナバンドではあまりそういったケースは少ない気がします。ぜひ頑張ってほしいと思います。

最後に新曲「Flowers On A Grave」のPVを紹介しておきます。時代も変わり、さすがにサウンド面ではグランジ臭はほぼなくなりましたが、ギャビンの歌声のおかげでブッシュらしさは健在ですね。

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